2018年08月25日

心の中の娘と共に:(20)

夫源病
 「上沼恵美子、夫源病で結婚41年目の別居」というニュースを読んで思い当たることがありました。ここ数年、複数の女性友達から「夫」のことで、話を聞くことが多かったからです。
 ある日、外出からの帰り、電車を降りて外に出たところで、一緒の電車から降りてきた近所に住んでいるAさんと出会いました。彼女は立ち話で30分余り、「夫」についての不満を漏らしました。以前のAさんは仲のいい夫婦で、「お父さん、お父さん」と、「夫」に対しても好意的な内容の話が多かったのです。その「夫」が、退職して家にいるようになってから、Aさんの「夫」への日常が、疎ましいものに変わっていったようです。「今日は昼食の支度もしないで、銀座まで友達とランチに行ってきたの」とAさん。日頃のストレスが少しでも和らげばいいですね、と思いながら別れました。
 娘の死後お参りにきて頂いたBさんの話。ある日髪を洗っていたら、娘さんがそばに来て、「お母さん、円形はげがある!」と教えてくれたそうです。びっくりして何が原因かしら、と考えてみたところ、思い当たることは「夫」だけ。共働きで、「夫」が先に退職。自分は退職後も週3回は仕事に出ているが、「夫」は全く自分の好きなこと以外はしないし、会話もあまりない。娘の存在で助かっているようなものだと思い至ったそうです。
 Cさんも、「夫」が退職してから、自分のほうはまだ仕事をしていたので、少しは「夫」に家事を手伝ってもらえるかと思ったそうですが、「夫」にその気はなく、仕事から帰ってくると、自分の居場所だったところに「夫」が陣取ってくつろいでいる姿に、自分の居場所まで侵された感じがしたそうです。ある日彼女は、たまりにたまった不満を我慢できなくなり、ついに爆発。「夫」は思い詰めていた妻の気持ちに驚き、それからは協力的になったそうです。

 共通していることは、どうやら「夫」が一日中目の前にいることへの煩わしさのようです。そのために、これまで何十年と保たれてきていた自分(妻)の日常がすっかり乱れてしまったことへの、怒りやイライラが日毎つのっていき、ついには「うつ、めまい、不眠、動悸」など病の症状に襲われるようになるのが「夫源病」のようです。
 私がいつも利用している、近所の公立図書館で気がついたことがあります。ここ何年か、土日以外の平日には、年配の男性利用者が目立つようになりました。棚から本を選び、ちょっと内容を拾い読みしたいなあと思っても、書架の周りに置いてある椅子席は、ほとんどふさがっていることが多く、座っている人のほとんどは男性で、年配者です。平日ですから、年配者が多いのは当たり前ですが、その割には年配の女性は少ないのです。私はそれを目にしてから、あれこれ考えました。
 女性は退職しても、家事のほかに、趣味も多く、習い事を続けていたり、友達と定期的にランチを楽しんだり、旅行に出かけたりと、楽しむことが結構多いのではないかと思いました。それに比べて退職した男性は、職場人間からなかなか抜けられずに、家の中でも何をしていいか分からずに過ごすことが多いのではないか、と思いました。そして少しでも目の前から「夫」が消えて欲しい家人から「図書館にでも行ってきたら」などと言われて来ているのではないかなあ、と思いました。私は、本を返して、次に借りる本を探して手続きするだけですから、館内にとどまっている時間は長くて10分ぐらいですが、男性のほとんどは、椅子に座って動かない人が多いのです。席を立つときには本を置いて席取りです。本を膝に置いて、居眠りの人も年中見かけます。
 仕事に明け暮れた長い年月から離れて、個人中心の生活に切り替わる前に、家庭人としての過ごし方や、趣味などへの手ほどきを教えてもらえる機会があれば、少しは「夫源病」予防になるのでは?
(2018年8月25日)
 
posted by ジャン吉 at 11:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月11日

心の中の娘と共に:(19)

 セミの天敵
 毎日暑さが続いているので、外出もおっくうになります。それでも今日は、図書館から予約した本が届いているとの連絡がありましたし、生協(店)へも買い物に行かなければと思い、午後4時過ぎに出かけました。
 外に出たとたん、熱風に包まれました。一昨日から、冷房の効いた部屋に閉じこもったままだった私の身体には、かなりの暑さが感じられました。図書館への道を歩いていると、途中の小さな砂場で、子供達がしゃがんで何かを見ているのに出会いました。私も後ろから覗いてみますと、子供達が集めてきたのか、砂地にセミの死がいが10匹ぐらい並んでいました。それから図書館までの歩道にも、あちこちにセミの死がいが落ちているのを見かけました。
 結局、図書館と生協に寄って帰宅するまでの、1.5qぐらいを歩いて、子供達が集めたぶんを除いても、20匹を越えるセミの死がいを目にしたのです。こんなことは初めての経験でした。
 私は、「セミは夏に出てくるけど、もしかしたら暑さに弱いのかな?」と思い、帰宅するとすぐネットで調べてみました。当たりでした。セミが乾燥と暑さに弱いことを初めて知りました。先ほどエレベーターで一緒になった近所のオジサンは、「こんなに暑い夏は初めてだ」と言っていましたし、私も今年の夏の暑さにはとてもがまんができなくて、外出を控えていましたが、それは、「年のせい」だと思っていました。が、そうではなく、やはり今年は例年に比べて暑さが厳しいのですね。ですから、セミも耐えられなくて、地上での短い命(ひと月ぐらい)をさらに短くしていたのでしょう。
 セミで思い出したことがあります。今は昔、訪中団の一員として中国に初めて行ったときに、中国で最も歴史の古い都市の一つといわれている、河南省開封市にも行きました。郊外をバスで通ったときに、道端の木々の間に子供達が群がっているのが見えましたので、「何をしているの」と通訳に聞いてみたところ、セミを獲っている、とのことでした。食料にするために、穴から出たばかりのセミ(幼虫)を捕獲し、油で揚げて食べるのだそうです。美味しいとのことでした。それを聞いて、私を含めてほとんどの日本人は驚きの声を上げました。あとで知ったことですが、中国以外でもセミを食べる習慣はあるそうですし、もしかしたら、私が知らないだけで、日本でも食べている地方があるのかもしれません。
 セミの天敵は鳥やモグラやアリ、人間などなそうですが、一度にたくさんの命が失われることでは、「夏の暑さ」がいちばんではないのかな、と思いました。
 それにしてもこの暑さ、セミの本来持っている寿命をまっとうするためにも、早く過ぎ去ってもらいたいものです。

近況あれこれ
 暑くて家から出ない日が続いたある日、朝目が覚めたら体のあちこちが、こわばっているような感じがしました。これはいけない、動けなくなっては大変と、慌てて起き上がり、そのまま着替えて散歩に出ました。その日の午後、姪の子Kちゃんが、わが家に遊びに来て、面白い本があるから貸してくれる、というのです。『わけあって絶滅しました。』という図鑑です。「これを読んだら『残念な生き物事典』も面白いから貸してあげる」とKちゃんは言いました。小学二年生になったばかりのKちゃんから、本を借りて読むとは、全く予想外のことでした。
 Kちゃんに朝の散歩の話をすると、明日の朝から一緒に行く、というのです。Kちゃんの遊び相手だった私の娘バルが聞いたら、どんなにか喜んだことでしょう。バルの写真を持参して、明日からKちゃんと散歩です。
       (
2018年8月11日)
posted by ジャン吉 at 10:06| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする